電車の乗り方

いい感じのアパート


電車通勤なわけだけど、
やっぱ満員電車ってのは人と人との距離が近くなるので
ちょっとした緊張感があるもんだ。


そういう距離のことを
心理学的に「パーソナルスペース」っていうことを
ふと思い出した。
まあ今日はその僕の縄張りに
一人のサラリーマンが入ってきたのである。


普通ドアからまっすぐに入る。
それでたいていの場合そのままの方向を向いて乗る。
でも次の駅では反対側のドアが開いたりする。
そうすると乗ってきた人とお見合い状態になるのだが、
乗り慣れてない僕は
ボーっとしてる間に反転できなくなってしまった。


ちょっと周りを見てみると、僕の周りはみんな僕と逆を向いている。
まあなんか変だ。


気にしなければいいので
さっきまで読んでいた本を読み返そうと視線を
ややしたに向けると、
僕の目の前の人が僕よりずいぶん背が低く、
本の目線と、相手の顔が妙に近い。


さすがに相手は百戦錬磨。
まるで僕なんかいないかのように
静かに目を閉じている。


僕も気にしないようにする。
でもなんか変だ。
やっぱり変だ。


いっそのこと本を読むのをやめよう。
そう思って視線を上にしてみると、
目の前の男性の頭頂部に目線がいく。
それも気になる。やっぱり気になる。
気になり出したらどうしようもなくなる。
このまま日暮里まで行かねばならぬのか…


ええい無理矢理向き変えてやろうか!
できない。
う〜ん。
やっぱり本を読む。
気になるけど、振り切るように読む。


満員電車は今日も行く。